この記事でわかること
- 退職して収入がゼロでも、翌年に住民税の請求が来る「後払い」の仕組み
- 退職月によって住民税の払い方(一括天引き/納付書払い)が変わること
- 会社の健康保険を抜けたあとの3つの選択肢(任意継続・国保・扶養)
- 任意継続が「保険料2倍」でも上限があり、高収入だった人ほど有利になりやすい理由
- 退職翌年の負担に備えて、私が今から準備していること
はじめに:退職した「翌年」が一番キツいって知ってましたか?
こんにちは、みっちゃんママです。我が家は夫婦ともに看護師で、2027年3月末に夫婦そろって本業を退職する予定です。サイドFIREに向けて準備を進めているのですが、調べていくうちに「退職した年より、退職した翌年のほうが出費が怖い」ということがわかってきました。
理由はシンプルで、住民税も国民健康保険料も「前年の所得」をもとに計算される後払い方式だから。つまり、収入がゼロになった退職翌年に、バリバリ働いていた在職時の高い所得をベースにした請求がドカッと来るんです。知らずに辞めると貯金が一気に削られます。
この記事は、総務省・厚生労働省・全国健康保険協会(協会けんぽ)・各自治体の公式情報をもとに、退職翌年にかかるお金を整理したものです。私自身まだ退職前なので「これから経験する側」として、公式の数字だけで備えをまとめています。

「辞めたら収入ゼロなんだから税金も安くなるでしょ」と思いますよね。私もそう思ってました。でも逆で、退職翌年こそ一番まとまったお金が出ていく。ここを知らないと計画が崩れます。
①住民税は「前年の所得」への後払い課税

個人住民税は、前年1月1日〜12月31日の所得に対して課税され、その翌年6月〜翌々年5月にかけて納めます。総務省も「毎年1月1日を賦課期日として課税する」と説明しています。つまり完全な後払い。
この仕組みのせいで、2027年3月に退職して収入がゼロになっても、2026年(在職時)の所得をもとにした住民税が2027年6月から請求されます。無職なのに、働いていた頃の所得で計算された税金を払うことになるわけです。
住民税の税率(標準税率)は次のとおりです。
| 区分 | 標準税率 |
|---|---|
| 所得割(前年の課税所得に対して) | 合計10%(市町村民税6%+道府県民税4%) |
| 均等割(定額) | 合計4,000円(市町村民税3,000円+道府県民税1,000円) |
ざっくりですが、たとえば前年の課税所得が300万円ある人なら、所得割だけで年およそ30万円。これが収入のない退職翌年に請求されると考えると、かなりの重さです。共働きで夫婦そろって退職する我が家の場合は、これが2人分かかります。
②【要注意】退職する「月」で住民税の払い方が変わる
実はここが今回いちばん「我が家、危ない」と思ったポイントです。住民税は退職する時期によって、残額の払い方が変わります(東京都主税局・横浜市・名古屋市などの公式説明で共通)。
| 退職する時期 | 残りの住民税の扱い |
|---|---|
| 1月1日〜4月30日に退職 | 申し出なしで「一括徴収」。最後の給与・退職金から残額をまとめて天引き |
| 5月に退職 | 5月分を最終月分として通常どおり天引き |
| 6月1日〜12月31日に退職 | 「普通徴収」(自分で納付書払い)に切替、または希望で一括徴収 |
我が家の退職予定は3月末。これはばっちり「1〜4月退職」ゾーンに入るので、最後のお給料や退職金から、残りの住民税が一気に天引きされることになります。「最後の給料、思ったより手取りが少ない!」とならないよう、退職金の使い道は天引き分を差し引いて考えておかないといけません。

3月末退職を選ぶ人は多いと思いますが、最後の給与から住民税がまとめて引かれる点は要注意。退職金をあてにして大きな買い物を予定していると、計算が狂います。
③健康保険は退職後3つの選択肢から選ぶ
会社の健康保険は退職すると使えなくなります。そのあとは協会けんぽの案内によると、次の3つから選びます。
| 選択肢 | 仕組み | 主な条件・期限 |
|---|---|---|
| ①任意継続 | 退職前の健康保険に最長2年継続加入 | 被保険者期間が2か月以上/退職日の翌日から20日以内に手続き |
| ②国民健康保険 | 市区町村が運営。前年所得・世帯人数で算定 | 住所地の市区町村窓口で手続き |
| ③家族の扶養に入る | 配偶者など家族の健保の扶養に入る | 扶養要件を満たせば本人の保険料負担なし |
夫婦同時に退職する我が家は、お互いを扶養に入れることもできないので、実質「任意継続」か「国保」の二択になります。ここの選び方で年間の負担がけっこう変わります。
④任意継続は「保険料2倍」でも上限あり
任意継続は、在職中は会社と折半していた保険料を退職後は全額自己負担します。協会けんぽも「退職前に控除されていた保険料を2倍した額が目安」と説明していて、ざっくり保険料が約2倍になります。
ただし大事なのが上限です。任意継続の保険料は「標準報酬月額」に上限があり、令和8年度(2026年度)は32万円が上限。退職時の標準報酬月額がこれを超えていても、32万円で計算した保険料で頭打ちになります(令和7年4月分から30万円→32万円に引き上げ)。
この上限のおかげで、在職時の収入が高かった人ほど、任意継続のほうが有利になりやすいんです。保険料は原則2年間変わらないので、退職直後の所得が高い時期をこの固定額でやり過ごせるのは大きいです。

健康保険料そのものの最新の料率は、2026年度に全国平均9.9%へ下がっています。県ごとの違いはこちらの記事でまとめているので、任意継続の保険料を見積もるときの参考にしてください。
⑤国民健康保険も「前年所得」がベース
もう一方の国民健康保険(国保)は市区町村が運営していて、保険料は前年の所得+世帯の加入人数で決まります。住民税と同じく、退職翌年は前年所得が高いと国保料も高くなる後払い構造です。
国保料は次の区分の合計で計算されます。
- 医療分(医療給付のための保険料)
- 後期高齢者支援金分(後期高齢者医療制度を支える保険料)
- 介護分(40〜64歳の人だけ)
それぞれ「所得割(前年所得に応じて)+均等割(人数に応じて)+平等割(1世帯あたり定額・無い自治体もある)」で計算します。料率や均等割の金額は自治体ごとに大きく異なるので、正確な額はお住まいの市区町村に確認が必要です。参考までに名古屋市(令和8年度)では医療分の所得割率8.83%・均等割50,591円などとなっており、世帯の年間上限は合計で約111万円に設定されています。
⑥結局どっちが安い?任意継続 vs 国保の判断ポイント
どちらが安いかは前年の所得と扶養家族の人数で変わります。協会けんぽの案内をもとに整理すると、こんな傾向です。
| こんな人 | 有利になりやすい方 |
|---|---|
| 前年所得が高かった | 任意継続(上限があるため) |
| 扶養する家族が多い | 任意継続(家族分の保険料が別途かからない) |
| 前年所得が低い/単身 | 国保が安くなることも |
| 会社都合の退職(倒産・解雇など) | 国保(前年給与所得を30%換算する軽減特例あり) |
注意したいのが一番下の非自発的失業の軽減特例。倒産や解雇などで失業した人は、前年の給与所得を30%として国保料を計算してもらえる制度があり、この場合は国保が大きく下がります。ただし我が家のような自己都合退職では使えません。「制度としてはあるけれど、自分は対象外」という整理で考えています。
公式の案内でも「個人差が大きいので、市区町村窓口で国保料の見積もりを取り、任意継続の保険料と両方比較してから決める」とされています。我が家も退職前に必ず両方の見積もりを取って比べるつもりです。
⑦退職翌年に備えて、私が今やっていること
ここまで見てきたとおり、退職翌年は「住民税(2人分)+健康保険料+国民年金」が、収入のないなかでまとめてのしかかってきます。だから我が家では、退職前から「FIRE後の税金・社会保険料用」のお金を別口座に分けて積み立てています。
普段の生活費と混ぜてしまうと、いざ請求が来たときに「あれ、足りない」となりがち。我が家では住信SBIネット銀行の目的別口座に「退職後の税金用」の枠を作り、現在は毎月5万円ずつ積み立てています。退職翌年は住民税(2人分)・健康保険料・国民年金がまとめて来るとわかっているので、その時に慌てないよう今から準備しているイメージです。この口座管理の方法は目的別口座で資産を管理するリアル活用法の記事で詳しく書いています。
それともう一つ大事なのが、公的保険の手厚さを正しく知っておくこと。保険料の負担にばかり目が行きがちですが、その保険料で支えられている高額療養費制度のような公的医療保険は、いざというときにとても心強い味方です。負担と給付の両方を知っておくと、民間保険に入りすぎることもなくなります。気になる方は高額療養費制度を整理した記事もあわせてどうぞ。

「辞めたあとに来るお金」を先に知って、先に貯めておく。これだけで退職後の不安はぐっと減ります。サイドFIREは勢いだけじゃなく、こういう地味な準備が9割だなと感じています。
まとめ
- 住民税は前年所得への後払い。退職して収入ゼロでも、翌年に在職時の所得ベースで請求が来る
- 住民税の所得割は前年課税所得の10%。共働き夫婦の同時退職なら2人分かかる
- 1〜4月に退職すると、最後の給与・退職金から住民税が一括天引きされる(我が家の3月末退職もこれ)
- 健康保険は退職後「任意継続・国保・扶養」の3択。夫婦同時退職だと実質「任意継続か国保」
- 任意継続は保険料約2倍だが上限あり(令和8年度は標準報酬月額32万円)。高収入だった人ほど有利になりやすい
- 国保も前年所得ベース。どちらが安いかは前年所得・扶養人数しだい。退職前に両方見積もって比較を
- 退職翌年の負担に備え、税金用のお金を別口座で先に積み立てておくのがおすすめ
※この記事は、総務省・厚生労働省・全国健康保険協会(協会けんぽ)・東京都主税局・名古屋市など自治体の公開資料をもとに作成しています。税率・保険料率・上限額は年度や自治体によって変わるため、最新の正確な数字は各公式サイトやお住まいの市区町村でご確認ください。





