前回、スマホに入れる無料の詐欺対策アプリの記事を書きました。でも、私が親戚中のスマホを設定して回って気づいたのは、高齢の親の“本当の弱点”は、スマホより固定電話だということでした。
じつは、特殊詐欺に使われた電話番号の約7割以上が「海外からの国際電話」(警察庁)。しかも実家の固定電話は、知らない番号でもつい出てしまいます。この記事では、お盆で実家に帰ったときに5分でできる、固定電話の無料の詐欺対策をまとめます。とくに①国際電話をまるごと止める設定は、効果が大きいわりに知られていません。

スマホばっかり気にしてたけど、うちの親も含めて高齢者は固定電話がメイン。しかも詐欺電話の7割が海外から。これを知って、お盆の帰省でやることが決まりました。
詐欺電話の約7割は「海外から」|固定電話がいちばん危ない
特殊詐欺に使われた番号の約75.5%が国際電話(警察庁)
まずは数字から。警察庁によると、令和7年中に特殊詐欺で使われた電話番号のうち、約75.5%が国際電話番号でした。「+1」「+44」など、頭に「+」がつく番号が目印です。
- 特殊詐欺に使われた電話番号の 約75.5%が国際電話番号(令和7年中)
- 「+1」「+44」など「+」で始まる番号が目印
- 犯人は海外から発信し、身元をたどりにくくしている
- 警察庁は固定電話に「国際電話の利用休止」を呼びかけ(#みんとめ)
なぜ犯人は「海外の番号」を使うのか
国際電話は海外の設備を経由するため、発信元をたどりにくく、犯人が身元を隠しやすいのです。日本の番号は規制が進んで使いにくくなった一方で、国際電話が抜け道になっています。裏を返せば、ふつうの家庭に海外から電話がかかってくること自体、めったにありません。だからこそ「国際電話をまるごと止める」が効くのです。
実家の固定電話は「知らない番号でも出てしまう」
高齢の親世代は、固定電話が鳴ると反射的に受話器を取ります。ナンバーディスプレイが無い家も多く、相手が分からないまま会話が始まってしまう。ここが、スマホ以上に守りが手薄なポイントです。
対策①|国際電話の着信を「無料」で止める(いちばん効く)
いちばんおすすめが、そもそも海外からの電話を受け取らない設定です。「国際電話不取扱受付センター」に申し込むと、その固定電話の国際電話の発信・着信を無料で休止できます。日本国内どうしの電話はこれまで通り使えます。
申し込みの手順(電話・Webどちらも無料)
やり方は3つ。いちばん簡単なのは電話(自動音声)かWebです。
- 電話で申し込む:0120-210-364(通話料無料)に電話し、自動音声の案内にそって「着信休止」を申し込む(平日・土日祝24時間)
- Webで申し込む:kokusai-teishi.comにアクセスして、対象の電話番号を入力して申し込む
- 郵送でも可:申込書を郵送(郵送料のみ自己負担)。警察署の窓口を通して申し込むこともできます
対象は「03」「06」など市外局番から始まる10桁の固定電話(ひかり電話も含む)。NTT東日本・西日本・KDDI・ソフトバンクなど各社に対応しています。
注意点:海外と電話する家庭は事前に確認
- 海外に電話をかける・受ける習慣がある家庭(家族が海外在住など)は、止めると不便になるので要検討
- あとで再開したくなっても無料。オペレータ(平日9〜17時)に電話すれば元に戻せます
- 国内の電話(家族・病院・宅配など)はこれまで通り使えます

「海外に電話なんてしないよ」という実家なら、迷わず止めてOK。これだけで詐欺電話の入り口が7割ふさがる計算です。うちも帰省したときに親の分を申し込みました。
対策②|70歳以上なら「ナンバーディスプレイ」が無料になる
NTT東西が月額料・工事費を無料化(2023年5月〜)
相手の番号を表示する「ナンバー・ディスプレイ」は、通常は月額利用料がかかります。でも、NTT東日本・西日本は70歳以上の契約者(または70歳以上と同居する契約者)を対象に、ナンバー・ディスプレイとナンバー・リクエストの月額料・工事費を無料にしています(2023年5月〜)。番号が見えるだけで、「知らない番号は出ない」という判断ができるようになります。
「ナンバー・リクエスト」で“非通知”も自動ブロック
セットで無料になる「ナンバー・リクエスト」は、番号を通知してこない相手に「番号を通知しておかけ直しください」と自動音声で応答してくれるサービス。非通知でかけてくる怪しい電話を、そもそも鳴らさずに済みます。
申し込みは、NTT東日本・西日本の「特殊詐欺対策ダイヤル」または各社のWebサイトから。「NTT ナンバーディスプレイ 無料 70歳」で検索すると案内ページが見つかります。

これ、知らずに月額払ってる家庭が多いんです。70歳以上ならタダ。実家がナンバーディスプレイを使ってるなら、無料になってるか一度確認してあげてください。
対策③|留守番電話・迷惑電話防止機器の合わせ技
留守番電話を「常にオン」にする
在宅中でも留守番電話をオンにしておくのは、昔から効果的な方法です。犯人は録音を嫌うので、留守電に切り替わると切ることが多い。「本当に用事のある人はメッセージを残す」と割り切れば、知らない番号に出る必要がなくなります。
自治体が迷惑電話防止機器を無料で貸してくれることも
多くの自治体が、着信時に「この通話は録音されます」と警告する迷惑電話防止機器の無料貸出や購入費補助を行っています。「お住まいの自治体名+迷惑電話防止機器」で検索してみてください。高齢の親が対象になることが多いです。
スマホ・携帯電話はアプリで守る
ここまでは固定電話の話でした。スマホや携帯電話の国際電話・迷惑電話対策は、警察庁推奨アプリなどを入れるのが手軽です。入れ方は前回の記事にまとめています。
でも、一番の防波堤はやっぱり“家族”
前回の記事でも書きましたが、大切なことなのでもう一度。設定はあくまで入り口です。
お盆で実家に帰ったら、固定電話の設定をしながら、ぜひこう伝えてください。「お金・口座・還付金の話が電話で出たら、いったん切って私に電話して」と。設定して回る本当の目的は、機械の設定そのものより、「困ったらいつでも相談していいんだよ」と顔を見て伝えることだと思っています。
コツコツ貯めた大切なお金も、親世代が築いてきた財産も、守れなければ意味がありません。お盆の帰省は、家族みんなで“守る力”を高める、いいきっかけになります。

実家の固定電話をいじりながら、親と30分おしゃべりできました。設定が終わったころには「ありがとう、安心したわ」って。これが一番の詐欺対策だなと、しみじみ思います。
まとめ|お盆に実家でできる“固定電話の守り”
- 特殊詐欺に使われた番号の約75.5%は国際電話(警察庁)。「+」で始まる番号に注意
- 対策①:国際電話不取扱受付センター(0120-210-364/無料)で海外からの電話をまるごと止める
- 対策②:70歳以上ならナンバーディスプレイ+ナンバーリクエストが無料(NTT東西)
- 対策③:留守番電話を常時オン+自治体の迷惑電話防止機器も活用
- スマホ・携帯は前回の詐欺対策アプリ記事で
- 一番の対策は「お金の話が出たら、すぐ家族に相談できる関係」
この夏の帰省で、実家の固定電話にひと手間かけてあげてください。5分の設定が、大切な家族とお金を守ってくれます。
※本記事の数値・制度は警察庁「#みんとめ」、国際電話不取扱受付センター、NTT東日本・西日本の公表情報によります(2026年7月時点)。申込条件は変わることがあるため、最新情報は各公式窓口でご確認ください。





