こんにちは、みっちゃんママです。
私は今、転職して2年目の職場で働く看護師です。前の職場とあわせると、看護師歴は17年ほどになります。
そして先日、今の職場を辞めると決めました。
「転職してまだ2年なのに?」と思われるかもしれません。でも、辞めたい理由を紙に書き出してみたら、答えはハッキリしていました。
この記事では、私が退職を決めた理由と、同じようにしんどい職場で働いている人に知ってほしい「労働のルール」をまとめます。
- 職場の「当たり前」が、実はルール違反かもしれないこと
- 国が定める「パワハラ」の定義(6つの類型)
- 辞める前に使える、無料の相談窓口
その職場の「当たり前」、法律違反かもしれません
最初に、数字をひとつ紹介させてください。
労働基準監督署が令和6年に取り扱った「賃金不払事案」は22,354件。対象になった労働者は185,197人、金額は約172億円にのぼります(厚生労働省・令和7年8月公表)。
つまり「うちの職場、なんかおかしい」は珍しいことではありません。賃金の面だけでも、年間18万人以上が同じ目にあっています。
残業代は「1分単位」が原則
「15分未満は切り捨て」というルールの職場、いまだにあります。でも賃金は全額払いが原則で(労働基準法24条)、残業代は原則1分単位で計算するものとされています。
また、始業前の情報収集や着替えなども、職場の指示のもとで行っていれば労働時間にあたる場合があります。看護師の「前残り」は、まさにここに関わる話です。
未払いの残業代は3年さかのぼって請求できる
賃金を請求できる権利の時効は、当分の間3年とされています(労働基準法115条)。職場を辞めた後からでも請求できます。「もう辞めたから関係ない」ではないんです。
私が「辞める」と決めた3つの理由
ここからは私の話です。特定を避けるため、場所や場面はぼかして書きます。それでも、同じ思いをしている人には伝わると思います。
理由①:ルールが「人」と「日」によって変わる
私の職場は、トップの方針がよく変わります。
昨日OKだったことが、今日は「なぜ勝手にやった」になる。報告をすれば「いちいち報告するな」。報告を控えれば「なぜ報告しない」。
基準になっているのはルールではなく、その日の空気でした。正解が毎日変わる職場では、どれだけ真面目に働いても「正解」にたどり着けません。

「私の判断力が落ちたのかな…」と自分を責めていました。でも今なら分かります。基準のほうが動く職場では、誰が働いても同じことになるんです。
理由②:守るための道具がないのに、責任だけは現場に来る
感染対策に必要な手袋やガウンなどの物品を、十分に使わせてもらえない。それなのに、感染が広がると「現場の管理が悪い」と言われる。どう考えても防ぎようのないことまで、現場の責任にされる。
でも本来、働く人を病原体などの健康被害から守る措置をとるのは、事業者側の義務です(労働安全衛生法22条)。道具を与えずに結果だけを求めるのは、順番が逆だと私は思います。
理由③:「いじめ」が個人の問題として片付けられる
私の職場は、以前から人間関係の厳しさで知られていました。私自身もつらい扱いを受けていますし、同じように苦しんで辞めていった同僚を何人も見てきました。
そして、これは過去の話ではありません。今も続いています。誰かが辞めれば、次は別の誰かがターゲットになる。「いつ自分の番が来るか分からない」という空気の中で働き続けるのは、想像以上に心をすり減らします。
まだ職場のルールを全部は把握しきれていない時期に、やり方をどう選んでも結果が変わらないような小さなことでも、まるで大きなミスをしたかのように広められてしまう。そんな経験もしました。
1人が辞めるなら「相性」かもしれません。でも、何人も同じ理由で辞めていくなら、それは個人の問題ではなく、職場の構造の問題です。
理由④:10年前の私なら、耐えられたかもしれない
正直に書くと、10年前の私は、看護師をやりがいのある仕事だと思って一生懸命働いていました。独身で若くて、体力も気力も十分。少しの嫌味くらいでは、へこたれませんでした。
でも、子育て中の今は違います。
- 子どもの発熱で、突発的に休まざるを得ない日がある
- 少し早く出勤して情報収集する、という「前残り」ができない
- 業務量が多く、仕事が後ろにずれ込んでサービス残業になる
同じ職場、同じストレスでも、ライフステージが変われば耐えられる量は変わります。「昔は頑張れたのに」と自分を責める必要はありません。守るものと使える時間が、変わっただけなんです。
それ、国が定義する「パワハラ」かもしれません
2022年4月から、パワハラを防止する措置をとることは、規模を問わずすべての事業主の義務になっています(労働施策総合推進法)。病院や施設も例外ではありません。
厚生労働省は、職場のパワハラを6つの類型に整理しています。
- 身体的な攻撃(暴行など)
- 精神的な攻撃(暴言・侮辱・人格否定)
- 人間関係からの切り離し(無視・仲間外し)
- 過大な要求(できるはずのない仕事の強制)
- 過小な要求(仕事を与えない・雑用ばかりさせる)
- 個の侵害(私生活への過度な立ち入り)
私のケースを当てはめてみると、「報告するな」と突き放される、必要な物品を与えられないまま責任だけ問われる……当てはまりそうな項目がいくつもありました。
「自分が我慢すればいい」と思っていたことに名前がつくと、少し冷静になれます。まずは、自分の状況を6類型に照らしてみてください。
データで見ると「あなたのせいじゃない」とわかる
日本看護協会の「2024年 病院看護実態調査」によると、2023年度の正規雇用看護職員の離職率は11.3%でした。
また、新卒看護師の退職理由を見ると、「健康上の理由(精神的疾患)」が52.5%で最多。「上司・同僚との人間関係」も29.8%にのぼります。
人間関係や心の不調で職場を離れるのは、全国のどの病院・施設でも起きていることです。「自分が弱いから」ではありません。
辞める前にできること(無料で使える窓口)
「もう限界かも」と思ったら、1人で抱え込む前に、公的な窓口を頼ってください。全部無料です。
- 総合労働相談コーナー(厚生労働省):各都道府県労働局や労働基準監督署内などにあり、予約不要・無料。パワハラを含め、どんな労働問題でも相談できます
- 労働基準監督署への申告:賃金不払いなどの法違反は申告できます。申告したことを理由に不利益な扱いをすることは、法律で禁止されています(労働基準法104条)
- 記録を残す:日付・言われた言葉・状況をメモしておく。スマホのメモで十分です。相談するときの強い味方になります
そして、心や体が壊れそうなときは、闘うより先に離れてください。健康より大事な職場は、この世にありません。
心や体が壊れそうなら「傷病手当金」という逃げ道もある
もうひとつだけ。医師に「働けない状態」と判断された場合は、健康保険の傷病手当金という制度で、給料の約3分の2を受け取りながら職場を離れられます。条件を満たせば、退職した後も続けて受け取れます(協会けんぽ等)。
私はこれを「最後の逃げ道」として頭に入れています。体に不調が出てから動くのでは遅いので、「ここまで来たら制度を使って離れる」というラインを、元気なうちに決めておく。
👉 傷病手当金の詳しい条件・月収別の金額早見表・退職後も続けてもらう方法は、こちらの記事にまとめました:
【心が限界なら休んでいい】傷病手当金は給料の約3分の2×通算1年6か月|退職後も続けてもらえる条件と3つの落とし穴
私は「闘う」より「離れる」を選びました
正直に言うと、私は職場と闘うことはしませんでした。
理由はシンプルで、私の目的は「職場を正すこと」ではなく「家族との時間を守ること」だからです。
転職して環境を変えても、次の職場が当たりとは限りません。実際、私は転職2年でこの結論になりました。だから私は、「どんな職場でも辞められる自分」を作る方に時間を使ってきました。
- 家計を把握して、生活費を整える
- NISAで資産を育てる(配当は税引き後で年70万円になりました)
- 副業の柱を少しずつ育てる
そして夫婦で話し合い、2027年3月末に退職することを決めています。
ただ、それはあくまで予定です。もしそれより前に、いじめや理不尽が今よりひどくなって心や体に限界が来そうになったら——私は我慢せずに受診して、必要なら傷病手当金を受けながら、家庭を最優先にして早めに職場を離れるつもりです。
ストレスの現場に居続けて体に不調が出てしまう前に、逃げ道を確保して、さっと動く。それが今の私の答えです。

職場は変えられなくても、「職場に依存しない自分」は作れます。私は職場を正すことより、そっちに時間を使うことにしました。
まとめ|「おかしい」と感じた自分の感覚を信じていい
- 職場の「当たり前」がルール違反であることは珍しくない(賃金不払だけで年2.2万件)
- パワハラには国の定義(6類型)がある。名前がつくと冷静になれる
- 無料の相談窓口がある。まずは記録を残すことから
- 心や体が壊れそうなら、傷病手当金という公的な逃げ道がある(退職後も条件を満たせば継続)
- 闘う・耐えるだけでなく、「離れる準備をする」も立派な選択肢
職場がおかしいのか、自分がおかしいのか分からなくなったら、法律とデータを物差しにしてみてください。
私の場合、その物差しが「辞めていい」と背中を押してくれました。同じ場所で立ち止まっている誰かの参考になればうれしいです。
出典
- 厚生労働省「賃金不払が疑われる事業場に対する監督指導結果(令和6年)」
- 厚生労働省 あかるい職場応援団(パワハラの定義・6類型)
- 厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」
- 日本看護協会「2024年 病院看護実態調査 報告書」
- 労働政策研究・研修機構(JILPT)「正規雇用看護職員の離職率は11.3%に」
- 全国健康保険協会(協会けんぽ)「傷病手当金」





