こんにちは、みっちゃんママです。我が家は夫婦そろって看護師で、2027年3月末に二人そろって退職する予定です。だから「辞めたあと、健康保険をどうするか」は我が家の現在進行形の悩みでもあります。
そんな中で、2026年10月1日から「106万円の壁」がなくなります。パートで働く人にとっては大きな変更です。
調べていくうちに、自分でもずっと分かっていなかった疑問にぶつかりました。
🤔 この記事で答えを出す4つの疑問
- 106万円というのは「1か所の勤務先で」の話?
- スポットワークであちこちの会社で働いた場合はどうなる?保険料はどこが払うの?
- 会社の負担も上がるの?
- 退職後、任意継続と「106万円で働く」はどっちが安いの?
結論から言うと、4つ目の答えは「働いたほうが年34万円安く済む」でした。順番に、厚生労働省と日本年金機構の資料で確認していきます。
2026年10月に消えるのは「月8.8万円」という条件
まず、いま何が「壁」になっているのかを整理します。パートやアルバイトの人が勤務先の社会保険(健康保険・厚生年金)に入る条件は、次の5つです。
📋 短時間で働く人が社会保険に入る条件
| 条件 | 2026年10月から |
|---|---|
| 週の所定労働時間が20時間以上 | 残る |
| 月の賃金が8.8万円以上(年約106万円) | 撤廃 |
| 2か月を超えて雇われる見込み | 残る |
| 学生でない | 残る |
| 勤務先が一定の規模以上 | 段階的に拡大 |
出典:厚生労働省「社会保険適用拡大特設サイト」。同サイトには賃金要件について「2026年10月にこの要件を撤廃する予定です」と明記されています。
消えるのは月8.8万円という金額の条件だけで、ほかの条件はそのまま残ります。つまり10月からは、「週20時間以上働くかどうか」がほぼすべてになります。
なぜ撤廃されるかというと、最低賃金が上がったからです。厚生労働省の資料には、最低賃金の上昇により週20時間以上働く人は自動的に月8.8万円を超えるようになった、という趣旨の説明があります。条件として意味をなさなくなった、ということですね。
「106万円まで働ける」と思って調整していた人は、10月からは時間のほうを見ないといけません。年収を抑えても、週20時間を超えたら加入対象です。
106万円は「1か所の勤務先ごと」で判定します
ここが、私がいちばん知りたかったところです。掛け持ちで働いている場合、全部の勤務先の収入を足して判定されるのか。それとも1社ずつ見るのか。
日本年金機構が出している「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大 Q&A集」に、はっきり書いてありました。
「被保険者資格の取得要件を満たすか否かについては、事業所単位で判断を行うこととしており、2か所以上の事業所における所定内賃金や労働時間を合算することはしません」
出典:日本年金機構「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大 Q&A集」
合算しない、と明記されています。労働時間も、賃金も、勤務先ごとに別々に見る。これが答えでした。
スポットワークであちこち働いたら、どうなる?
では、タイミーのようなスポットワークのアプリを使って、まったく別の会社で細切れに働いている場合はどうなるのか。合算しないというルールを当てはめると、こうなります。
🔍 ケース① 3社で細切れに働いた場合
| 勤務先 | 週の労働時間 | 社会保険 |
|---|---|---|
| A社 | 8時間 | 対象外 |
| B社 | 7時間 | 対象外 |
| C社 | 6時間 | 対象外 |
| 合計 | 21時間 | どこも対象外 |
合計では20時間を超えていても、合算しないルールなので、どの会社でも加入対象になりません。
この場合、勤務先の社会保険には入れないので、自分で国民健康保険と国民年金に入ることになります。保険料は全額自己負担です。ここは要注意ポイントだと思いました。
2社以上で条件を満たしてしまった場合は、話が変わります
では、A社でもB社でも週20時間以上働いていて、両方で条件を満たしてしまったら。ここで初めて「合算」が出てきます。
🔍 ケース② 2社とも条件を満たした場合の流れ
① 本人がどちらか1社を選ぶ
「被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」を、事実が発生してから10日以内に提出します
② 両社の報酬を合算して保険料を決める
「それぞれの事業所で受ける報酬月額を合算した月額により標準報酬月額を決定します」
③ 保険料を各社で分け合って納める
「決定した標準報酬月額による保険料額をそれぞれの事業所で受ける報酬月額に基づき按分し決定します」
出典:日本年金機構「複数の事業所に雇用されるようになったときの手続き」
「どこが払うのか」の答えは、これでした。1社がまとめて払うのではなく、働いた分に応じて各社が自社の負担分を納める。窓口として1社を選ぶだけで、負担そのものは分け合う形です。
つまり「1社ごとに判定 → 2社以上で該当したら合算」という2段構えです。ここを知らないと、掛け持ちの計画が立てられませんでした。
130万円の壁とは、そもそも数え方が違います
ここで混乱しやすいのが、よく聞く「130万円の壁」との違いです。同じ社会保険の話なのに、数え方のルールが正反対でした。
⚖️ 106万円と130万円は、まったく別の制度
| 106万円の壁 | 130万円の壁 | |
|---|---|---|
| 何の話? | 自分が勤務先の社会保険に入るかどうか | 家族の扶養から外れるかどうか |
| 数え方 | 勤務先ごと(合算しない) | その人の収入をすべて合算 |
| 含むもの | その勤務先の所定内賃金 | 給与のほか年金・事業収入なども |
| 2026年10月 | 金額の条件が撤廃 | 変更なし |
掛け持ちで細切れに働いても106万円の判定には引っかからない。でも収入の合計が130万円を超えたら、扶養からは外れます。
出典:日本年金機構・厚生労働省の被扶養者認定に関する取扱い(給与以外に年金収入や事業収入等がある場合は、それらを含めて年間収入を判定するとされています)
ここが最大の落とし穴だと思いました。「1社ごとの判定だから大丈夫」と細切れに働いた結果、社会保険には入れないのに、扶養からは外れる——という一番損な形になりかねません。その場合、国民健康保険と国民年金を自分で全額払うことになります。
会社の負担も、同じだけ増えます
もうひとつ気になっていたのが、雇う側の負担です。社会保険料は会社と本人が半分ずつ出す(労使折半)ので、加入者が増えれば会社の支出も増えます。
金額を出す前に、ひとつ前置きを。健康保険の保険料率は、都道府県ごとに違います(協会けんぽの場合)。同じ給料でも住む県によって保険料が変わるので、ここでは我が家のある香川県の料率10.09%で計算します。全国平均はおよそ10%なので、大きくズレる数字ではありません。
そのうえで、月8.8万円で働く人を1人雇った場合、会社が負担する額を計算してみました。
💰 月8.8万円のパート1人あたり・会社の負担(月)
| 保険の種類 | 会社の負担 |
|---|---|
| 健康保険(香川県の料率10.32%の半分) | 約4,541円 |
| 厚生年金(18.3%の半分) | 約8,052円 |
| 合計 | 約12,593円 |
1人あたり年間で約15万円。10人いれば150万円の追加負担になります。
香川県の健康保険料率10.09%+子ども・子育て支援金0.23%で計算(協会けんぽ・令和8年度)。40歳以上は介護保険分が別途かかります。
この金額を見て、正直「働く側にも影響が出るだろうな」と思いました。会社としては負担が増えるので、週20時間未満にシフトを調整するという動きが出ても不思議ではありません。「働きたいのに時間を減らされる」ということが、実際に起こりうる話です。
我が家の本題|任意継続と「106万円で働く」はどっちが安い?
ここからは我が家の話です。2027年3月末に夫婦そろって退職すると、お互いの扶養に入ることができません。二人とも無職になるからです。だから退職後の健康保険は、次のどれかを選ぶことになります。
そこで気になったのが、「いっそ週20時間だけ働いて、勤務先の社会保険に入ったほうが安いのでは?」ということでした。我が家の給与(手取りで月25万円・ボーナス30万円が年2回)をもとに、香川県の料率で計算してみたら、想像以上の差がありました。
📊 健康保険料の比較(我が家の場合・月額)
差額は月28,483円。年間で約34万円も違いました。
なぜここまで差がつくのか。理由は2つあります。
🔑 差がつく2つの理由
① 任意継続は「全額」自分で払う
在職中は会社が半分出してくれていた分も、退職後は自分持ちになります
② 保険料のもとになる金額が違いすぎる
任意継続は在職中の給与がもとになります(令和8年度の上限は標準報酬月額32万円)。一方パートは月8.8万円がもと。ここで約3.6倍の差がつきます
しかも、勤務先の社会保険に入れば厚生年金にも入れます。月8.8万円なら本人負担は約8,052円で、同額を会社も出してくれる。将来もらう年金が増えるうえに、病気で働けなくなったときの傷病手当金も使えるようになります。
「辞めたあとは任意継続」と何となく思っていましたが、週20時間だけ働くほうが、保険料は安くて年金も増える。調べてみるまで気づいていませんでした。
もちろん、任意継続には「2年間は保険料が上がらない」「扶養する家族がいても保険料が変わらない」といった利点もあります。子どもを扶養に入れる場合は、そこも含めて比べる必要があります。我が家も、退職が近づいたら最終的な数字を出して決めるつもりです。
同じ年収でも「働き方の形」で手取りが変わる
ここまで調べて、いちばん大事だと思ったのはこれでした。年収が同じでも、その稼ぎ方によって払う保険料がまるで違うということです。
🔀 年収106万円を稼ぐ、2つの形
😵 3社で細切れに稼ぐ
どの会社でも週20時間に届かない
→ 勤務先の社会保険に入れない
→ 国民健康保険+国民年金を全額自己負担
会社の負担分はゼロ。全部自分で払う
😊 1社に週20時間まとめる
条件を満たして社会保険に加入
→ 保険料は会社と折半
→ 厚生年金・傷病手当金もつく
半分は会社が出してくれる
同じ106万円を稼ぐのでも、まとめて働くほうが手元に残るお金は多くなります。
「扶養を外れたくないから、細かく分散させる」という考え方もありますが、収入の合計が130万円を超えれば、分散させても扶養からは外れます。それなら1か所にまとめて社会保険に入ったほうが、負担は軽くて将来の年金も増える——というのが、調べたうえでの私の結論です。
🍀 この記事のまとめ
- 2026年10月1日から「月8.8万円以上」の条件が撤廃。残るのは週20時間以上などの条件
- 加入するかどうかは勤務先ごとに判定。労働時間も賃金も合算しない(年金機構Q&Aに明記)
- ただし2社以上で条件を満たしたら合算して保険料を決め、各社が按分して納める。届出は10日以内
- 130万円の壁は逆で、その人の収入をすべて合算して判定する。106万とは数え方が違う
- 会社の負担も月8.8万円の人1人あたり約12,593円増える。シフト調整の動きが出る可能性も
- 我が家の試算では任意継続より「週20時間働く」ほうが年約34万円安く、厚生年金もつく
制度の名前だけ聞くと難しそうですが、要は「どこで、週に何時間働くか」の話でした。10月まであと少し。掛け持ちで働いている方は、いまのうちに勤務先ごとの時間を確認しておくと安心だと思います。
※制度は今後の政省令などで細部が変わる可能性があります。実際の加入判定はお勤め先や年金事務所にご確認ください。この記事は2026年8月時点の公表資料をもとにまとめています。





